所得格差の大きい社会は、どういうわけかあらゆることが悪化していると私たちは直観的に感じています。リチャード・ウィルキンソンは、信頼できる経済格差のデータを図表にし、格差が広がりすぎると健康や寿命、さらには信用のような非常に基本的な価値観などに対する実質的な影響が悪化するのだと説きます。経済格差がいかに社会に問題を引き起こすのかをご覧ください。
リチャード・ウィルキンソンによると、経済格差によって社会に問題が引き起こされるという感覚はフランス革命以前から存在していたといいます。
あるデータによると、その国ごとの平均所得と健康レベルには関係性が見られませんが、地域における貧富の差はそのまま寿命の短長と比例しているといいます。また、それ以外のデータでもその国における経済格差がさまざまな問題と相関関係にあることが分かります。
これらの結果から、多くの社会問題は単純に富裕国かどうかで生み出されるものではなく、相対的な所得の差によって生まれてくることが分かります。また、多くの社会問題による損失を鑑みれば、さまざまな方法を用いて経済格差を是正することの方が有益であるといいます。
データでは、日本は世界的に見ても非常に格差の少ない社会とされていました。しかし、そんな日本でも所得格差の広がりは大きな問題となっています。社会問題を解決すためには、「1人がたくさん稼ぐ」よりも「皆がある程度稼ぐ」ようなシステムにする必要なありそうです。