宮城県石巻市の雄勝町が主な製造地となる600年の歴史を誇る伝統工芸品「雄勝硯(おがつすずり)」を、職人が作る様子をとらえた映像です。ただの石が硯になる様子をご覧ください。
材料となり石を割って手ごろな大きさにすると、専用の道具でゴリゴリと削る職人。小気味良い音を立てながら石に刃を立てていると、次第に硯の姿が石の中から浮かび上がってきます。そして最後には、誰もが見たことがあるような硯の形になりました。
あの滑らかな曲線や温かみのある凹凸は、こんな風に作られていたんですね。
日本の硯の材料産地は、山口県宇部市の赤間石、宮城県石巻市の雄勝石、三重県熊野市の那智黒石、山梨県早川町雨畑の玄晶石(粘板岩)等があります。その中でも赤間石との雄勝石の二つは100年以上の歴史があり、国の伝統工芸品指定を受けています。しかし雄勝石は2011年3月の東日本大震災で石巻市の旧雄勝町地域が大きな損害を受け生産が停止したため、入手は困難になってしまいました。
この雄勝硯の職人技が、少しでも早く昔のように復活するといいですね。