中国・雲南省大宝の高速道路で4日、大量のスイカを積んだトラックが横転事故を起こし、車内に男性1人が取り残されていたのに、集まった人々は散乱したスイカを持ち去るだけで助けようとせず、男性は死亡しました。雲南テレビなどが伝えました。
2011年10月には広東省仏山市で2歳の女児がひき逃げされたのに18人が見て見ぬふりをし、女児が死亡する事件が起き、冷漠社会(他人に無関心な社会)として問題になっていました。インターネット上では「『見死不救』(死にそうな人を助けない)がまた起きてしまった」などと、道徳心の喪失を嘆く声が広がっています。
事故は4日午後4時20分ごろに発生。約35トンのスイカを積んで昆明に向かっていたトラックが、ブレーキが利かなくなり、コントロールを失って横転しました。運転手は助け出されましたが、後部座席に乗っていた男性が取り残されました。
この事態に運転手は集まった見物人らに「助けてください」と男性の救助を求めましたが、ほとんどの人々がスイカを持ち去る一方、救助要請を無視したといいます。
スイカを持ち去ろうとした男は、現場でとがめた雲南テレビの記者に「どうして駄目なのか。このスイカはいいスイカだし」と悪びれた様子もなく言い、「あなたの良心はどこに行ったのか」との問いには「そんなことは考えたことがない」と言い放ったといいます。
事故では、通報を受けて救急車が現場近くに来ましたが、事故による渋滞で近づけず、男性は死亡が確認されました。
中国版ツイッター「微博」では、「(こんな時に)強盗をしないと損だという人間のくずのような考えは、いつになったら中国からなくなるのか」、「中国人の素養は千差万別だと思うが、文明の程度が低い人が大多数だ。私たちが当然だと思っていた道徳基準は、彼らの心の中にはまったく現れなかったのだ」といった書き込みが相次いでいるといいます。
信じられないような事件ですが、日本でも似たような出来事としてサイレンを鳴らして走る救急車に道を譲らず緊急走行を妨害する歩行者たちが問題とされていました。もしかすると集団心理なんかも働いていたのかもしれませんね。