一般的に、スポーツ選手はそれほど勉強ができるという風には思われておらず、「筋肉バカ」というレッテルが貼られることもしばしばです。ところが最新の研究によると、プロサッカー選手の知的能力は全人口の上位2%であることが明らかとなりました。もしかすると、スポーツ選手は賢いのかもしれません。
この調査は、スウェーデンのストックホルムにあるカロリンスカ研究所で行われたものです。
今回調べられたのは、IQ(知能指数)ではなく認知機能と呼ばれる脳の能力です。認知機能とは、五感(視る、聴く、触る、嗅ぐ、味わう)を通じて外部から入ってきた情報から物事や自分の置かれている状況を認識したり、言葉を自由に操ったり、計算したり、何かを記憶したり学習したり、問題解決のために深く考えたりといった、いわば人の知的機能を総称した概念です。
調査によると、上位クラブのプロサッカー選手と下位クラブのプロサッカー選手では認知機能テストのスコアに違いがあり、上位クラブのプロサッカー選手のほうが下位クラブのプロサッカー選手よりも高得点を取ることが分かりました。また上位クラブのプロサッカー選手だけを見ると、テストの点数は全人口の上位2%でした。
認知機能は、「複雑な計算式が解ける」といった類の知性ではありませんが、基本的な知性レベルを表しているとされています。この能力が高い選手は試合中に瞬時に状況を判断し的確な決断を下せるため、認知機能の高さはサッカーのパフォーマンスに直結しているといいます。また、3次元的なフィールドと複雑な戦術は、人々が考える以上に難しいものだといえます。
研究者によると、サッカーが上達と認知機能が向上の関係性は不明だといいますが、熟練したサッカー選手は認知機能が上昇している場合があるといいます。
また、サッカー選手が若いときからサッカーの練習をすることは、知的能力を育むために有効だといい、たとえ身体能力やスピードを持っていても認知能力がなければ宝の持ち腐れだといいます。
さらに現在のサッカー選手への投資は非常に危険なビジネスだといい、プレイヤーの質を見極めるための材料が足りないといいます。そしてこの研究こそが、その判断材料になりえるものだといいます。
サッカーでは同じような体力や技術力であっても、得点する選手と得点できない選手が存在することは知られています。多くの場合こういった得点能力を「ゴールへの嗅覚」などといわれていますが、もしかすると認知機能が大きく関わっているのかもしれませんね。