近代の製造業で欠かすことのできない存在といえばロボットであり、さまざまなモノ作りに多く利用されています。しかし、建築の分野においてはその利用される割合は少なく、クレーンやハイテク工具などの機械は使われていても、ロボット自身が建造するなんてことはありません。
ところが、この4枚羽を持った自立型のヘリコプターロボットは、自動制御で1500個の気泡ブロックを積み上げて、高さ6mの塔を建設してしまいます。この建築ロボットは、建設業の新しいモデルを示唆しているといえそうです。
この試みは、ロボット技術を持っているラファエロ・ダンドレア(Raffaello D’Andrea)さんと建築家のファビオ・グラマジオ(Fabio Gramazio)さん、マティアス・コーラー(Matthias Kohler) さんらのチームによって行われました。
自律ロボットでの塔の構築には、4台のロボットが使われています。まず2台のロボットが、ブロック置き場にあるブロックを所定の位置まで輸送します。そして、残りの2台のロボットが、所定の位置から塔の適切な位置にブロックを設置して、積み上げ作業を行っていきます。またロボットの下側には、ブロックを吸着するための特殊な装置が備え付けられています。
ロボットは、バッテリーが減ってくると所定の充電ステーションに自律的に飛んでいき、充電したのち仕事に復帰します。
全てのロボットは、自律制御されており、天井のカメラやモーショントラッキングシステムなどによって、互いのロボットが衝突することや塔などの障害物に激突しないように行動します。また、レンガをどの位置に設置するかも指示します。ただ、特別なブロックを設置する場合には人間からの指示に従います。
このロボットの塔建築プロジェクトは、実際の塔建設のデモンストレーションともなっています。将来的には、この規模の100倍である30万人が収容できる高さ600mの塔「垂直村」を建設することを目指しています。
これまでは、どうしても人手が必要不可欠だった建設作業に、自律ロボットが導入されれば生産性は飛躍的に上昇するでしょう。ロボットが建造した600mのタワーマンションに暮らす時代も、すぐそこに来ているのかもしれません。