アメリカのIT企業アップルを故スティーブ・ジョブズ氏と共同創業したスティーブ・ウォズニアック氏(61歳)が4日、「クラウドコンピューティングが一般化する今後数年以内に「悲惨な問題」が起きるだろう」という予測を示しました。
クラウドコンピューティングとは、これまでハードディスクに置いていたデータを遠隔サーバーに移行し、インターネットなどのネットワークを通じてサービスの形で利用するもの。ウォズニアック氏は、4日にアメリカ・ワシントンD.C.で開催された講演イベントで、次のように述べました。
「何もかもがクラウドに走っている現状は、非常に心配だ。とても恐ろしいことになると思う。今後5年間で悲惨な問題がたくさん起きるようになるだろう」
現代のパソコンの先駆けとなった「Apple II」を開発した技術畑のスペシャリストであるウォズニアック氏は続けて、「クラウドでは皆さんに所有権は一切ない。(クラウドサービス提供会社と契約を交わした段階で)全てを手放すことにサインしてしまうのだ」と説明しました。
「私は、自分が何かを所有しているのだと感じたい。『私のコンピューターには全部揃っているよ』と思っている人は多いだろうが、クラウドに移行すればするほど、自分で管理できる部分は少なくなっていく」
ウォズニアック氏はアップルに12年在籍した後、1987年に退社。その後は資産の一部を寄付する一方で、小学生らに教えたり、講演活動を行ったりしています。
講演でウォズニアック氏はアップルにいた当時のことを振り返り、「私がデザインしたものは全て、本からではなく、純粋に私の頭の中から出てきたものだった」とも語りました。
日本でも最近、ファーストサーバの障害問題が発生しましたが、クラウド化すればこういったケースも必然的に増えてくるでしょう。またクラウドには、情報に関する所有権の問題なども山積していると言えるかもしれませんね。