アメリカのIT企業アップルが、矢継ぎ早に買収や投資を進めているようです。
指紋センサー技術開発のオーセンテックを約3億5600万ドル(約280億円)で買収することで合意しました。「iPhone」の新機種に、何らかのモバイル決済技術が搭載されるとの見方が出ています。さらにニューヨーク・タイムズ紙は27日、アップルが簡易投稿サイト運営のツイッターへの出資を検討していると報じました。
アップルはオーセンテック株1株当たり8ドルを支払います。これはオーセンテックの前日終値に58%のプレミアムを上乗せした水準。
買収のニュースを受け、オーセンテックの株価は約66%急上昇。アップルの株価も約1.8%上昇しました。
オーセンテックは、パソコンやモバイル機器向けの指紋センサーチップの開発・製造を手がけ、韓国サムスン電子や中国レノボ・グループ(聯想集団)、富士通などを顧客に持ちます。年間売上高は約7000万ドル(約55億円)。
アップルが上場企業を買収するのはまれで、通常は大型買収を行わず、買収先には新興の技術企業などが多いといいます。
指紋センサー技術はモバイル決済システムとして、日本の携帯電話などに搭載されています。今回の買収によって、モバイル決済システムが米国や他の市場にも普及する可能性があります。
アップルの広報担当は、アップルがオーセンテックの技術をどのように利用していくかについてはコメントを差し控えました。
さらにアップルが、ツイッターへ投資するという話も出ています。
ツイッターの時価総額は100億ドル(約7840億円)以上とされ、アップルは数億ドルの投資を検討中といいます。ただ、現時点で交渉は行われておらず、両社が合意するかどうかは不明。スマートフォンの「iPhone」などで先行するアップルは、ソーシャルメディア分野の強化で、携帯端末や応用ソフト、音楽や動画などコンテンツ(情報の内容)の販売との相乗効果が大きいと判断しているとみられています。
これまで新興企業への投資が中心だったアップルですが、ここにきて上場企業への投資や買収も積極的に進めているようです。もしかすると、新しいサービス提供へ向けての布石なのかもしれません。