世界的な不景気が今なお続く現代では、政治家や経済学者がさまざまな論理を持ち出して政策を打ち出しています。しかしその中には、経済学を学んでいない人にとってはよく分からないものも多数あります。
今回は、そんな経済学オンチな人でも分かるジョン・メイナード・ケインズの理論とフリードリヒ・ハイエクの理論をラップにのせて説明する動画をご紹介します。
ジョン・メイナード・ケインズとは、イギリス生まれの経済学者、ジャーナリスト、思想家、投資家、官僚。イングランド、ケンブリッジ出身。20世紀学問史において最重要人物の一人とされる人物。経済学において有効需要に基いてケインズサーカスを率いてマクロ経済学を確立させました。
一方のフリードリヒ・ハイエクは、オーストリア・ウィーン生まれの経済学者、哲学者。オーストリア学派の代表的学者の一人であり、経済学、政治哲学、法哲学、さらに心理学にまで渡る多岐な業績を残しました。20世紀を代表するリバタリアニズム思想家でありノーベル経済学賞を受賞しています。
とっても簡単に説明すると、ケインズの考えでは、消費・投資・政府支出を行うことで仕事が生み出され、その結果、労働者が仕事について稼ぎ、さらに労働者がお金を使うことで景気が良くなるサイクルが生まれるとしました。そのためケインズの考えを支持する人の中には、公共工事などにより政府がお金を使うことで仕事が生まれ景気が良くなると主張する人もいます。
一方のハイエクは、ケインズの言うような政策を行えばインフレーションが発生しバブルによって経済が混乱すると指摘しました。
アメリカでは、1929年に始まった経済不況「世界恐慌」に対して当時の大統領フランクリン・ルーズベルトがニューディール政策を行いました。この政策はケインズの理論を取り入れたもので、「緊急銀行救済法」「TVA(テネシー川流域開発公社)などの公共事業」「CCC(民間資源保存局)による大規模雇用」「NIRA(全国産業復興法)による労働時間の短縮や超越論的賃金の確保」「AAA(農業調整法)による生産量の調整」「ワグナー法「全国労働関係法」による労働者の権利拡大」などを打ち出しました。さらに第二次世界大戦への参戦などにより雇用が生まれ、結果的に恐慌から立ち直りGDPは上昇、失業率は低下しました。
ケインズの理論を現代に当てはめようとしても、現代の仕事は昔のように単純なものではなくスキルが求められるため失業者は簡単に働くことが出来ません。また、経済全体に占める国家の経済力の割合が昔に比べて非常に小さくなったため財政出動の効果も期待できません。さらにグローバル化によって、国内での支出が国内での需要に繋がりにくくなっています。加えて、貨幣経済以外の経済の占める割合が増加したため、貨幣だけでどうにかすること自体が難しいといえそうです。
この経済問題は学者によって賛否両論があるため、どういった政策が有効なのかを決めるのは非常に難しいようですね。現代は、ケインズやハイエクが理論を打ち立てた時代に比べて経済の規模や質が大きく変化しているため、新しい理論が必要なのかもしれません。