南米ウルグアイの議会で、大麻(マリファナ)の販売・流通を政府が管轄するとした法案が提出されました。法案はホセ・ムヒカ大統領の左派政権が打ち出した15の犯罪撲滅対策案の1つで、可決されれば麻薬が政府の専売品となる世界で初めてのケースとなります。政府直々に薬物を販売する理由には、麻薬カルテルの封じ込める意図があるといいます。
エレウテリオ・ウイドブロ国防相は20日の記者会見で、法案提出の主旨について、「一部の麻薬を非合法とすることが社会問題につながり、麻薬そのものよりも悲劇的な結果を招いている」と説明。目的は「マリファナ生産と流通を国の厳しい管理下に置くこと」と語りました。
法案では、マリファナの流通・販売を政府が管轄。ただし18歳以上の大人にだけ販売し、さらに購入者をリスト化して購入後も当局が追跡できるといいます。また、マリファナの販売から得た税金は麻薬中毒者のリハビリのために使われるとしており、決められた量を越えて服用する人はリハビリを受けることになるといいます。
ウルグアイでは、マリファナの使用に関する法律がなく、個人使用のための薬物所持は違法ではありません。
エレウテリオ国防相によると、ウルグアイ国内におけるマリファナの非合法市場は7500万ドル(約60億2500万円)規模と推測されています。
ブラジルとアルゼンチンに挟まれた小国のウルグアイでは、麻薬絡みの犯罪抗争は、ほぼ皆無でしたが、近年では殺人事件の発生件数が増加しています。これについてウイドブロ国防相は、麻薬取引をめぐる組織間トラブルに起因するものであることは明らかだと指摘しました。
人口320万人のウルグアイで、今年の1月から5月に発生した殺人事件は133件で、前年同期比で70%増加しました。
政府統計によるとウルグアイでは前年、人口の8.3%がマリファナを吸引しているといいます。
ウルグアイ国内でも、政策の効果を疑問視する人が多いようです。しかし、政府はリスクを払ってでも麻薬カルテルの資金源を断つことを優先させなければいけないようです。それほど南米の麻薬カルテル問題は緊迫した状態に追い込まれているのかもしれませんね。
管理の厳しいタバコみたいなもんか。