このTED2009でのたった4分という短い講演で、ピート・アルコーンが今から2世紀後の世界の姿を描き出しています。それは人口の減少と機会の増大により古典派経済学を代表する経済学者トマス・ロバート・マルサスの間違いが証明される世界だといいます。
トマス・ロバート・マルサスの唱えた過少消費説、有効需要説では、「幾何級数的に増加する人口と算術級数的に増加する食糧の差により人口過剰、すなわち貧困が発生する。これは必然であり、社会制度の改良では回避され得ない」とされています。しかしアルコーンは、マルサスのいうとおりにはならないといいます。
アルコーンによると、国連の世界人口データでは今世紀後半に世界人口が100億人手前で天井を打つと予想されており、その後、人口減少が始まるといいます。これによって、好ましい2つの経済効果がもたらされるといいます。
1つ目は、不動産の価格が下がり、これによって世界の貧困層の負担が軽減されるというもの。2つ目は、労働力不足によって賃上げが行われ貧困層や労働者階級の負担が軽減されるというものです。
また文化的に見ると、過去は素晴らしいもので未来はひどいものと見る傾向がありますが、実際には未来ばバラ色だといいます。そして未来を気にかける理由として、危険な過渡期を自暴自棄にならずに乗り越えるためだといいます。
彼の言い分が正しいのは分かりませんが、よくある”人口が増大する”ことによる問題を取り上げた未来像とは一線を画す新しい未来像ではありそうです。
日本では、2世代前くらいには人口の増加は著しかったですが、現在は人口減少が始まっています。そう考えると、現在、人口増加が著しい国や地域も、2世代後(50年程度後)では人口減少が始まっていると考えても不思議ではないかもしれませんね。