以前にも東日本大震災の津波で漂流中の瓦礫がアメリカに接近していることをお伝えしましたが、ハワイ大学マノア校の研究者に研究によって、この瓦礫が2014年には北米に到達することが明らかとなりました。瓦礫は2500万トンという膨大な量だとされており、破壊された家、漁船、さらには被災者の遺体なども含まれているといいます。
国際太平洋研究センターのNikolai Maximenko氏とJan Hafner氏によると、これらの瓦礫は風や波の力によって太平洋上を4500マイル(約7250km)を漂流したのち、北米の西海岸に到達するといいます。
この映像は、瓦礫の分布と経過年数をシュミレーションしたものです。瓦礫は1年程度でハワイの北部を通過したのちに、2年でアメリカ西海岸に到達しています。その後は、南下してメキシコあたりに漂流し、海流にや風の影響でハワイと北米の間に対流していることが確認できます。
これらの瓦礫は、時間の経過とともに徐々に小さくなりますが、耐久力が非常に高いため無くなることはありません。10月には、ロシアの船員によってテレビや冷蔵庫といった日本からの瓦礫が太平洋上で発見されており、中には約6mの漁船なども見つかっています。
インド洋津波の際には、流された瓦礫が船舶の運航に危険をもたらし、漁業が中断に追い込まれる事態となりました。さらに海岸に流れ着いたゴミが大きな問題にもなったといいます。
東日本大震災での津波は、瓦礫だけでなく原発事故によって流れ出た放射性物質の影響も懸念されており、アメリカやカナダは海岸に打ち上げられる汚染物のリスクを指摘しています。
日本では、日本国土内の放射能汚染や瓦礫処理問題がクローズアップされていますが、太平洋上に漂う瓦礫は日本以外の国にも大きな問題となりつつあります。また、この瓦礫の中には汚染物質や被災者の遺体が混ざっているため処理が非常に難しいと言えます。日本は国内の瓦礫だけでなく、太平洋上を漂う瓦礫処理も今後の課題となりそうです。