以前電車から身を乗り出してスタイリッシュアクションを繰り広げるインド人をご紹介しましたが、インドネシアでも混雑を避けるためや無賃乗車スリルを楽しむために電車の屋根に乗る人が続出し問題となっているようです。そこで鉄道当局は、電車の屋根に乗れないようにコンクリートのボールを設置することにしました。
「ゴールボール」と名付けられたこの直径10cmほどのコンクリート製ボールを、線路を囲う形でサッカーゴールのような鉄製の枠を設置し、そこから12個ずつ吊り下げる形で設置されています。列車の屋根との隙間は25cmほどなので、屋根に乗った乗客はコンクリートボールと激突し大怪我もしくは死亡する算段となっています。
最初の仕掛けはこのほど首都ジャカルタ郊外の駅から数百メートルの地点に導入されたようで、鉄道当局の広報によると「あれを設置して以来、屋根に乗る乗客はいなくなった」ということのようです。
インドネシアでは長年にわたり、列車の屋根に乗る乗客への対応に苦慮してきました。屋根にオイルを塗ったり有刺鉄線を張ったり宗教指導者から助言してもらうなどの対策を試みたが、いずれもうまくいかなかったということのようです。今回打ち出された「ゴールボール」作戦は、今のところ絶大な効果を発揮しているものの「やり過ぎだ」との批判もあるといいます。しかし、国営鉄道広報は「列車の屋根に上る人は、その時点で自分の命を顧みていない」と強調しています。
ジャカルタ近郊では約50万人が日常的に鉄道を利用、特にラッシュアワーは満員になるため、混雑する車内を避けて屋根に乗る乗客が続出。中には無賃乗車したり、スリルを味わうためだけに上る乗客もあり、月に1~2人が死亡しているといいます。また、こうした事故を防ぐため効果次第では「ゴールボール」作戦をさらに展開する可能性もあるといいます。
政府の予想では、ジャカルタ周辺の鉄道利用者は2018年までに100万人を突破する見通しだということで、乗客が屋根に上がらなくて済むよう、鉄道網の整備と拡張が必要だとの見方で関係者は一致しています。