さまざまな場所で全裸となり、自分を含めた風景写真を撮影するという一風変わったアートで、国際的に高い評価を受けている韓国人アーティストのキム・ミル(Kim Miru)さん(30歳)が、今度は104時間もの間、全裸で豚小屋に入り豚と同じ生活をするというアートを披露し話題となっています。この様子は「アートバーゼルマイアミ2011」にて展示されており、訪問者は全裸で豚小屋の中にいるキムさんを見ることができるといいます。
かつて医学生だったキムさんは、豚の持っている病気に感染する可能性もよくよく理解しており、このアートは恐怖との戦いでもあるようです。
このアートでは、ガラス張りの豚小屋に裸のキムさんと2頭の豚が入り、ほぼ4日間にあたる104時間をノンストップで豚と同じような生活を送ります。キムさんは「豚と交流するとき、これまで以上に自分の存在を感じる」と語りました。
この4日間は、もちろん豚とともに眠るため、キムさんは終始、不衛生な環境やニオイに苛まれたといいます。「豚小屋は、非常に濃縮された産業環境なので、ニオイは有毒なレベルに達しています」と語りました。
このアートに対して、ほとんどの人にとっては理解不能かもしれませんが、パフォーマンスアーティストの中からは「ハイアート」と呼ばれだしています。
このアートは、フランスの哲学者ミシェル・セールの書いた哲学書に影響されて制作されました。
キムさんは、「肌は唯一の身体の内側を保護するものではなく、身体の内側と外側を分ける膜でもない」「肌は外側の世界と内側とが混ざり合うポイントとして機能し、身体と魂の中間です」と語りました。
キムさんは、ニューヨークにあるコロンビア大学で学生だったとき、大学の授業で豚の解剖を行いました。その際、豚に夢中となりました。しかし、豚への愛着はその後も大きくなり続けました。
キムさんは、「つまり、私は豚を解剖する中で皮膚の色が私たちに近いことに気付きました」と豚との出会いについて語り、「豚は敏感で賢い動物であり、農場で初めて豚にペン入れする際に、豚は恐怖や好奇心を示します」と語りました。
トルコで撮影された写真。こういった写真作品で、国際的に高い評価を受けています
おそらくこの作品は、豚という動物を通して生き物の主体性と自己同一性を探ろうという試みなんでしょうが、多くの人に理解してもらうのは難しいかもしれませんね。