イギリスの退役軍人が旧日本軍の捕虜時代に描いた捕虜収容所内のスケッチがテレビ番組「アンティークロードショー」で公開されました。
このスケッチは捕虜だった兵士ジョン・メニー氏が描いたもので、そのスケッチを受け取った仲間の捕虜エリック・ジェニング氏が靴箱に隠していたものが、70年を経て家族に発見されました。
これらのスケッチは、1942年当時のシンガポール・チャンギにあった捕虜施設の様子です。
一枚目のスケッチは、劣悪な環境の中で手術を行っている様子が描かれています。
二枚目のスケッチでは、16000人の捕虜を狭い広場に無理矢理に収容している様子が描かれています。連合軍兵士が逃げないように署名を作っている間、耐えられないような暑さの中で捕虜を5日間待たせたました。
こういった捕虜施設に収容された多くの人々が病気や赤痢などで死亡しました。
三枚目のスケッチでは、捕虜たちが自分達の誇りや精神を維持するためにズボンを履いてクリスマスキャロルを歌う様子が描かれています。
エリック・ジェニング氏は1982年に70歳で亡くなりましたが、生前には戦時中に経験した捕虜生活のことに関しては一切話さなかったそうです。
彼は、シンガポールでジャーナリストとして活躍していましたが、その後、捕虜となってからはシンガポール、タイ、ビルマで4年間に渡って捕虜生活を送りました。
今回発見されたスケッチは、えんぴつで描かれているものやカラーのものを含めて30点に及び、歴史的価値などを含めて800ポンド(約10万円)~1200ポンド(約14万5000円)程度になるということです。
捕まえた16000人の捕虜に対して律儀に署名を取っていく行動や、暑さで捕虜が死んでいるのに規範を優先させる点、劣悪な現場を配慮しないところなど、戦争もお役所仕事的な感じで行われていた様子がありありと思い起こせてしまいます。
現場を無視して無謀で無計画な政策を打ち出す点など、日本の政治は70年前から全く進歩していないのかもしれません。