自然界の生き物たちは、非常に効率的な行動をするように進化してきました。人間は、それらのシステムから学ぶこともしばしばです。しかし、時には例外的なことも起こります。
ほとんどのアリたちは、視力によって移動していますが、一部の軍隊アリは完全に視力がなくフェロモンを頼りに移動するものがいます。自然界では、このシステムによって死ぬまで渦を巻いて行軍し続ける「死の螺旋」が発生することがあります。
この「死の螺旋」は、アリたちが道しるべとしているフェロモンが円状になってしまった際、視力を持たない軍隊アリがフェロモンの誘導に従うことで発生します。この状態となったら最後、軍隊アリたちは視力がないためスパイラルに入り込んでいることに気付けずに、渦から逃れることが出来なくなり死ぬまで歩き続けます。
また、この「死の螺旋」は、フェロモンを円状に散布することで人為的に作り上げることもできます。
人為的に作られた「死の螺旋」
これまでに見つかった最大の「死の螺旋」は、1周するのに2時間半もかかる直径1200フィート(約366m)のものです。
軍隊アリはフェロモンによって自分の進行方向を決定するため死ぬまで渦から逃れることはできません
このような「死の螺旋」に巻き込まれることがなければ、軍隊アリは世界で最も効率的に生き物を殺せる生き物とされており、南米で見つかったものでは、20万匹の群れが1日に10万匹の生き物を殺したといいます。
非常に強力な戦闘能力を持ちながら、こんな単純な失敗に気付くことなく死んでしまうという不思議なアリの知られざる生態でした。